絵本『はじめてのおつかい』40周年~その魅力とは?

『はじめてのおつかい』は、筒井 頼子(作)と林明子(絵)がコンビを組んだ最初の作品にして、代表作です。1977年に初版本が発売され、今年でちょうど40年のアニバーサリーイヤーを迎えました。

この作品は、子どもがいつか必ず経験する、“はじめてのおつかい”をこどもの目線で描いています。ロングセラー作品ですから、小さい頃に読んでもらったことがあるという方も多いでしょう。

なぜこの『はじめてのおつかい』は、長く人気を集めているのでしょうか?その理由を、ご紹介します。

はじめてのおつかい

はじめてのおつかい(こどものとも傑作集)

出典:Amazon

1.子どもの目線で書かれたお話

子どもが、主人公のみいちゃんを思わず応援したくなるような、ストーリーです。

おつかいを通して感じる責任感や、勇気、挫折、そして達成感を絵本の中で疑似体験しているようではありませんか?

2.優しいタッチの絵

絵本作家の林明子さんは、子ども、特に女の子を描いたら日本一と言われています。

子どものなにげないしぐさや表情、心のわずかな動きまで、やさしい視点でとらえて描き出します。

『はじめてのおつかい』でも、みいちゃんが、緊張のあまり右手と右足を一緒に出して歩いている様子、転んだ時の表情、不安な時の目線など、丁寧に描かれています。

リアルな子どもの表情を捉えているからこそ、子どもの共感を呼ぶのでしょう。

3.「大人が伝えたいこと」と「こどもの世界」が共存

大人が伝えたいと思う、「自立心」や「何かをチャレンジすることで生まれる自信」。

説話的な話では、押しつけがましくなってしまいがちです。

『はじめてのおつかい』は、 “みいちゃん”という自分と同じ年頃の女の子が頑張る姿を丁寧に描くことで、見事に「大人が伝えたいこと」と「こどもの世界」を共存させています。

4.絵に仕掛けがある

絵本好きな方々の間で、林さんの絵本に色々な遊び絵があることはよく知られています。

主のストーリーとは別のストーリーが隠れていたり、複数の作品を横断して登場する人物がいたりします。

はじめてのおつかい』につながる作品としては、まだ幼いお姉ちゃんの心情や成長を描いた絵本『あさえとちいさいいもうと』と『いもうとのにゅういん』があります。

例えばこんなふうに・・・

・あさえが住む町の大通りの電柱には、「筒井商店」の文字。(『はじめてのおつかい』でみいちゃんがおつかいに行くお店)

・筒井商店のお客さまサングラスのおじさんと、黄色い服のおばさんが絵の中に登場している。

・あさえが妹を見つけた公園に、みいちゃんがいる。

などです。

はじめてのおつかい

出典:Amazon

この本が書かれた、当時は、5歳の子どもが「はじめてのおつかい」をするというのは、ごく普通のことでした。

現在は、就学前の子どもに一人でおつかいをさせるには、危ない世の中になってしまいました。

お子さんが、絵本を読んで、「私だって、おつかいしたい!」と言いだしたら・・・?

そんなときは、家の中でおつかいをしたり、こっそり後ろから見守りつつのおつかいをしたりして、お子さんの「やりたい!」「できた!」という経験を、作ってあげたいですね。

読んであげるなら?

読んであげるなら、少し長めのストーリーを聞けるようになる4・5歳ころからがメインとなることでしょう。

個人差もありますので、反応を見ながら読んであげてください。

『はじめてのおつかい』(こどものとも傑作集)
筒井 頼子 作 / 林 明子 絵
出版社:福音館書店(こどものとも)
発行日: 1977年04月
ISBN: 9784834005257

『はじめてのおつかい』(こどものとも傑作集) |¥972 (Amazon)

仕様・価格などは原稿作成時のものです。

原画展が開催中

「はじめてのおつかい、こんとあき、そしてひよこさんまで絵本の引き出し 林明子原画展」が開催中です。

2017年4月15日(土)~5月28日(日) 高松市美術館(終了しています)
2017年7月15日(土)~8月27日(日) ひろしま美術館
2017年9月9日(土)~10月22日(日) 鳥取市歴史博物館
2017年11月3日(金・祝)~12月24日(日) 伊丹市立美術館
2018年4月5日(木)~5月27日(日) 宮城県美術館

『絵本のひきだし 林明子原画展』公式サイト:朝日新聞デジタル

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