通訳

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1歳半の長女が、突然泣き出した。

「カイチャン、ナイー。カイチャンハ?」
私は意味がわからない。

「かいちゃん?かいちゃんって、誰?」

長女はイヤイヤと首を振って、大声で泣きながら「カイチャン!」と地団駄を踏む。

すると、カードゲームで遊んでいた次男が立ち上がり、ソファの後ろに転がっていたうさぎのぬいぐるみを取り出して、

「これのことだよ」
と言った。

「え?これ?」

そういえば、長女のお気に入りのうさぎのぬいぐるみ、さっき掃除していたときにじゃまだからそのへんに放ったままだったっけ。

「どうしてうさぎがカイチャンなの?」
私は首を傾げた。

「うさぎだからでしょ。うさぎ、うかい、かいちゃん」

次男は何でわからないのと言うようにすらすら解説してくれた。

「すごいね。ゆうまは『ななえ語』の通訳みたいだね」
と、私が感心すると、次男は何も言わず嬉しそうに鼻の穴を膨らませた。

末っ子の長女が1才になる少し前に、隣の市に引っ越した。
すると保育園の空きがあったので、これ幸いと申込み、私は知り合いの事務所で週3日のパート仕事を始めた。

育児の大半は保育園任せで、だいぶ楽になったけれど、子供達と過ごす時間が一気に減った。

小学校に上がるまで幼稚園以外ずっと手元にいた長男と比べて、長女のことはわからないことが多かった。

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